昭和41年 サインで物が買える「クレジットカード」への憧れと挑戦!! 加入の審査がすごかった!?

 現在は信用の証でもあるクレジットカード、普通によほどの事情がない限り1枚はもたれていると思います。キャッシュレスの代名詞となった当たり前の各種、色々なクレジットカーです。時代を遡ること昭和40年初頭、オリンピックも終わり高度成長が続き世の中はめまぐるしく変化していっています。

 この時代、少し高額な物を購入するには「割賦販売」と言われる方法が主な購入方式でした。今なら「ローン」になりますね。しかし当時、この方法で購入できる物すべてが対象ではありません。自分の欲しいものが対象になっていれば良いのですが、そうとも限りません。また、この割賦販売の方式でも当然審査があります。

 この審査を簡単に出来るようにし「デパート」のようになったのが皆さんご存知の「○井」です。どちらかと言えば若い世代を主な顧客層の中心に見据え、一度に支払わなくても「分割」により商品を先取りできる画期的な販売方法で飛躍的に急成長した会社です。しかし、購入したい商品はここで取り扱っている物しか購入の対象になりません。ましてや高校生などは対象になっていませんので、私には全く無縁でした。どちらかというとアパレル系が主体で雑貨は規模が小さかった記憶があります。

 そんな所へ高校生の私に「クレジットカード」なる物の存在があることを知ってしまったのです。何でもプラスチックのカードを持っていれば、現金は必要無く分割払いにもでると信じられない仕組があると聞いたのです。これを耳にしたら、いても立ってもいられません。

 どのようにすればこの情報にたどり着けるのかからの始まりです。家の者は誰も分かりません。そして姉のご主人が衣服販売のお店を営業しているので、業界の付き合いも広く色々情報を持っているだろうと思い早速その話をしました。すると、すぐに資料と申込書を持ってきてくれました。

 何でもクレジットカードの加盟店にならないかとの誘いがあり、どうした物かと考えていたそうです。店舗で販売している商品は、当時でも結構高額なブランド物の洋装品がメインの洋装店でしたので加盟に関わる営業が来ていた事で加盟の話ではなく申込書を持ってくるようにとの連絡を入れてくれていたのです。

 このとき叔父さんから色々説明をされたのですが、まだ少年の私には分かりませんでしたので後にカード会社の営業マンに直接、私の家に来てもらうことになったのです。ここで父親に「クレジットカード」の話を私の代わりに、どのような物か、何故必要なのか、何に使うのかを説明してもらいました。

 ここで少し情報が増えて判った事を整理したら、クジレットカードは本に以外使えないことでした。これは目的が変わってしまう。わざわざ親を連れていいって買うのは出来ない。あくまでも自分自身で使うことに意味がある事でした。そして後日、叔父さんがカード会社の営業と一緒に我が家に来てくれました。

 開口一番、親以外に家族が使えるように出来ないかと直接話をしました。そしたらなんと「家族カード」と言う仕組みがあるとのことを聞き私は一安心です。これは今の時代も当たり前になってますね。しかしこの当時はここからが大変なのです。

 家族カードの発行では、申込に関わる書類と審査が全く違うことを説明されることになりました。この時はまだ少年でしたので、黙って聞くだけでした。そしてカード会社の営業の方が帰ってから置いていった申込に必要な書類を一つ一つ叔父さんが説明してくれました。父親は只々頷いて聞いていました。

 叔父さんのすすめもあり、申し込んでみようと言うことになったのです。申込必要な関連書式等々、それと家族カード発行には「保証人」が必要になり同様の書類を揃えなければならないと言うことでした。当時、私が覚えている必要な資料、家族全員記載の戸籍謄本、我が家と叔父さんの共々商売しているので納税証明3年分、資産総額を証明できる書類、借入がある場合は借用書、他色々で経理しさんにも相談していました。

 書類が揃うまで1ヶ月近くかかり当初説明に来てもらったカード会社の営業の方に、書類のチェックをしてもらい不備がないことを確認してもらい申込となりました。これからこの書類を基に正式審査になるとのことで最終的な合否は「書留郵便」が届けば合格で、その中にクレジットカードが入っているとのことで帰りました。ちなみに不合格の場合「葉書」で来るそうで、預かった書類はすべて破棄するとこのでした。

 只々、毎日帰宅するたびに「届いた?」の繰り返しで、一度帰宅し夜のバイトへ出かける日が続きます。

※ここで新しいアルバイトを見つけ働いています。詳しくは別途書く予定です。

 待つこと2ヶ月、届きました。初めて現物を、そして家族カードで自分の名前の入った「クレジットカード」があるのです。しかし、サインで使えてしまう「魔法の財布」です。怖くて普段は持っていられません。ましてや父親の名前のカードなどは本来必要のないものですのでどうにもでした。

 しばらく家族全員で眺めた後は、金庫の中へ保管することになり必要な時だけ使うことで全員納得でした。当の私は、このカードで目的を果たせればそれ以上は必要無いことも分かっているのでなおさらです。

 その目的とは、高校1年生で当時のサラリーマンの給料3ヶ月分の金額の「フラメンコギター」を分割払いにして買うことが、このクレジットカード申込の目的だったのです。やっと出会ったギター専門店に飾られた「フラメンコギター」との出会いでした。夢が叶えられるなら、アルバイトも楽しいです。対価有りの労働、アルバイト命でした。

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