カンテラ(簡易照明)

 

昭和30年初頭、この時代「缶詰」の消費が一般家庭でも普通にあったように思います。なぜなら子供の遊び道具として手軽に調達できた「道具」だったからです。「缶蹴り」などはどこからでも調達できるので、へこんで使用不能となってもすぐに新しい空き缶が見つかるため何の苦労もありません。そんな「空き缶」をどちらかというと季節は「夏」の夜が対象で「カンテラ」と呼んでいた、いわば提灯の代用の「空き缶」を利用した「照明」でした。

 

カンテラの構造はいたってシンプルで空き缶を横にして、中身を取り出した「フタ」の所を取り外し針金で持つ所を作って缶の中に火を付けた小さなローソクを、倒れないようにローソクのロウを垂らして其処に火が付いたまま立てる。それを暗がりめがけて向けると、ボーッと明るくなる、たったこれだけの事でも夏の夜遊びとして集団で暗がりを探し歩き、町内を回ってくるのでした。

 

今考えると木造の家並みがほとんどの町内、子供が「火の付いたローソク」を集団で持ってあるいているなんて考えられないと思います。しかし、大人は誰一人注意することもなく見守ってくれていた時代の話です。「カンテラ」危険をはらんだ危ない玩具でも、町内の誰かがどこからともなく連携して見てくれている。よほどのことが無い限り「小言」は言われない。町内の大人が皆「親」のような下町の成り立ち。

 

故に、本当に悪いことをすると他人でも「本気で怒られる」、最悪「げんこつ」も飛んでくる。もっとひどいのは、自分の家まで一緒に連れてこられ「親の前」で「叱られる」、そして親も子供と一緒に謝る。これが町内の子供に対しての普通のルールだった。子供も自然と其の成り立ちを理解し育ってきた古き時代でした。