昭和の縁日 食 「しんこ細工」
最近は「職人芸」を売るお店(香具師)が少なくなりましたが所によっては、まだ昔のまま頑張ってご商売をされている香具師の方を見かけることがあります。
ここで昔の縁日(屋台)と今の縁日の違いを書き表すと、とんでもなく長いお話になってしまいますので、今は見ることの出来なくなってしまった、横丁の職人を紹介していきますので参考にしてください。
余談ですが、最近の縁日はなぜか出来合の食べ物を販売している屋台が多く、話芸、技芸(物作り)の屋台はほとんどなくなってしまいました。何か物寂しい限りです。機会があるたび高齢となられた香具師の方を見かけると声をかけ、近況と後継者の話を聞き、自分で何ができるでもなしにため息をつきつつ屋台を後にするのです。
「しんこ細工」とは、何と思われる方がたくさんいるのではと思いますので簡単に「しんこ」の言葉から説明をしましょう。
白米を臼で引いて粉にしたものを水でこね、蒸し、ついた餅のようなものです。(団子と同じようなもの)
この餅のような生地は砂糖が入っていて甘い味で、そのまま食べても和菓子のような感覚で食べることができる。
この生地を使用して色々な形に造形、着色して販売していたのが「しんこ細工」の香具師です。
このしんこ餅は扱いが難しく、冷めると細工が出来なくなってしまうため管理が大変で、色々機材を工夫し一定の温度を保つようにしていました。
今のように電気により温度を自動で、一定に保つことなどできる時代ではないですから、全てが体で覚えた感により温度と湿度を保っていたようです。
しんこ細工の販売方法には違いがありました。管理と品質維持が難しいため香具師として縁日の開催地を、従来の形で巡業と自転車の荷台に道具一式を乗せ地元、近隣の各町内や隣接区と
範囲を決めて商売の2パターンあったようです。
お客様は子供から大人まで範囲が広く、作るものも干支を中心に縁起物や変わった物では野菜、大物は石庭のような組み合わせの大作もありました。
この辺が職人としての人気に大きな差となっていたようです。 注文すると手早く形を作り、色を付け竹串の先に付け渡してくれました。
賞味期限はとても短く、風に触れていると硬くなってしまうため、しばらく眺めた後は少しずつ口の中へ消えていくのです。この職業はとても早くになくなってしまいました。
一説では、和菓子屋さんに転向していったと聞いています。