昭和の縁日 技 「水笛(みずぶえ)」
ピロロロ、ヒローと聞こえるような音のする小鳥を模した、竹や瀬戸物で出来た笛なのですが、普通の笛と違うのは胴体の部分に水を入れるこです。笛に水を入れるとはよく考えついた物で、吹き口から息を吹き込むと胴体部分へ入れた水が空気の流れで、中の水が振動する事により音へ変化が生まれる。単純な構造ですがなんとも素朴な玩具です。
これがまた良い音で遠くまで響き渡るのです。子供からすれば縁日は色々な色と音と匂いに包まれた夢の世界ですから売る方の露店も皆必死です。その場限りの季節物商売、色々な演出でお客さんを集める工夫が必要なのです。
「水笛」を売っている、おじさんは奏でるように色々な音で鳴らすことができる、しかし珍しさで買って真似ても綺麗な音が出ない。すると子供ながらにおじさんの笛は違うのではと疑いを向ける。そんな子供の心を見抜き「坊主かしてごらんと」うまく鳴らない買った笛を手に取ると、見事なまでにさっきのおじさんの持っていた笛と同じように音を奏でる。
疑いが晴れても自分ではうまく吹けない単純な音しか出ない。でも考えたらこの音が普通の商品レベルであって、その先は練習と奏法の鍛錬がなければ出来ない技術だったのです。縁日には色々な商材を扱う香具師が店を出しています。そして自分達が商売にしている売り物は、それなりの努力と訓練、熟度という目には見えない資本がかかっているのです。
少し失礼な表現になりますが、商材の原価は大抵のものが廉価です。大人になって色々なことが分かってきたときに改めて香具師の人たちを考えてみるようになったら、縁日は「演芸」であり演者の芸として観ることではと感じるようになりました。
時代も変わり、飲食物の店が多い現実で残念ですが、演者としての本当の香具師はいなくなってしまったように思います。たかが「水笛」ですが、大人になって色々なことが判るようになり再度考えさせられた思い出でした。今、ネットで見ると「水笛」は色々な素材で作られ販売されています。瀬戸物、素焼風、竹、プラスチックといまだ健在です。
AI※人工知能による説明
水笛は、水を利用して音を出す楽器の一種です。その原理は、空気の流れが水を通過する際に振動を起こし、その振動が音となって発せられるというものです。この楽器は、多様な文化や地域で異なる形状や大きさで見られ、古代から様々な用途で使用されてきました。
水笛の構造は比較的シンプルで、容器部分に水を入れ、その水を振動させることで音を出します。演奏者は、容器に吹き込むか、容器を傾けることで空気の流れを制御し、音の高さや強さを変えることができます。水の量を変えることでも音の高さを調節することが可能です。
水笛は、楽器としての使用の他に、鳥や動物の声を模倣するための道具としても使われます。また、子どもたちのおもちゃや、教育用具としても人気があります。音の魔法のような効果や、操作のシンプルさが、幅広い年齢層に愛される理由の一つです。
伝統的な文化では、水笛は祭りや儀式の中で使われることもあり、その音色は精神的な意味を持つことがあります。例えば、水の音は清めや癒しの象徴とされることが多く、水笛の音は参加者にとって特別な体験を提供するものと考えられています。
現代でも、水笛はそのユニークな音色と演奏の楽しさから、音楽教育や音楽療法において注目されています。さらに、工芸品としての美しさを持つ水笛もあり、収集家の間で価値のあるアイテムとされています。