昭和の縁日 食 「文化フライ」

 縁日が始まる前見に行くと文化フライのお店のおばちゃんが、でっかいボールに色々な材料を入れながら仕込んでいるところを眺め、早く販売開始になることを、ひたすら待っていた私でした。

 そして仕込が終わってフライするための油も温まり準備完了。一番に買い求め大当たりの3本を目指してクジを引くのですが、一度も当たることなく確実な1本を手に取り、口にほおばるのでした。

 この文化フライとは小麦粉を主材料に水あめ、塩を入れて練り上げてから薄くのばし小判型の型抜きで抜きます。その型抜きした素材へ串をさし、薄く溶いたバッター液(小麦粉を水で溶いた物)に浸し細かいパン粉をまぶし油で揚げ、特性ソース(ウスターソースがベースで調合)に浸した串刺しのフライです。

 出来たてを食べたその味はなんともいえない、子供も、大人もその美味しさに感動します。本当にこの味を言葉だけでは伝えることが出来ない、特有の味わい深い食べ物でした。しかし現在、消えてしまった「縁日の文化遺産」になるかも知れません。気になったのが公開されていたレシピの情報について、私がよく買い食いをしていた「文化フライ」とは違うことが気になりました。

 何が違うかは、魚粉が入っていたことで、現在紹介されているレシピの大きな違いだと思います。子供の頃から物作りにはまっており、料理も子供ながらに創作を行っていました。この文化フライも縁日には早朝から出かけて支度や仕込をしている所を見るのが何より縁日の、楽しみの一つとしていましたので食べ物は特に気になる存在でした。

 前述書いたように文化フライ、子供ながらに作れるのではと、材料が何なのか仕込むところから観察していました。その中で袋の文字に魚粉の文字があったこと、この魚粉を配合していたのは後に気がついたことで魚肉ソーセージの感覚から、当時おばちゃんのオリジナルのアレンジだったのだと思ったのです。

 後年、あるときふとしたことから管理している会社で働いているアルバイトの女の子が、なんと「文化フライ」を買ってきてくれたのです。驚きとともに早速レンジで暖めて食べました。

 口の中に広がるなつかしさ。しかし、揚げたての香ばしさは少し物足りなかったですが、何十年ぶりかで口にすることが出来たことに感動しました。買ってきた場所を訪ねると、北千住のお閻魔様の縁日に出ていたとのことでした。だが後、お閻魔様の縁日へ私が行ったときにはもうなかった。

「文化フライ」⇒『ウィキペディア(Wikipedia)』

主に関東地方で見られる。元々は千葉県浦安の、小麦粉を練ったものにパン粉をつけて揚げた料理「玉子フライ」が原型である。東京都足立区梅田で「長谷川商店」を切り盛りしていた長谷川政子という女性が昭和30年代に考案し、区内のほか千葉県西部(松戸市、船橋市、市川市)などの縁日に屋台を出して売り歩いた。名前の由来は、当時「文化鍋」や「文化包丁」等、物品に「文化」と付けて売るのが流行していたため、それにあやかり「文化フライ」となった。

1955年(昭和30年)頃から売り出され、東京下町の子供に人気だった。物価の変動に伴い、5円から始まり 10円・15円・30円・50円・100円・150円と値上がりしていった。最盛期の夏祭りは 8月1日から8月31日まで毎日関東各地であったため、都内のみならず各県にも出向いて露店を出していたというので、他県でも馴染みがある。発祥地は当然、長谷川の住む足立区で、関東三大師の1つ西新井大師で露店を長年出していた。長谷川政子は高齢になったため、2000年頃に縁日での販売を止め、店での販売に絞った[1]。得意先の注文に応じ、自転車で長谷川が配達販売をしていた。子供時代に西新井大師の縁日で食べて以来のファンである「文化フライ研究家」の蓮沼弘が昭和レトロの話題を扱う自身のウェブサイト「はすぴー倶楽部」で紹介したところ、注文する人が増えたという。

長谷川政子は2006年に亡くなり、夫の長谷川清治が引き継いだが、その後作られなくなった。政子はレシピを生涯明かさなかった。以前に文化フライを仕入れてメニューにのせていた足立区千住のお好み焼き店「コウゲツ」の店主が、記憶を頼りにつくった復刻版を提供している。蓮沼は「味を忠実に再現している」と評価している。足立区立郷土博物館には、2009年に制作された文化フライの模型が展示されている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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