ニッキ棒
「ニッキ棒」と言われていた駄菓子屋で、かなりマイナーな駄菓子でした。販売されている姿は10センチにも満たない小枝が何本か束ねられ、紙の帯で止められていました。
この枝をどうするか、単純に口に含みチューチューとしゃぶるのですから、なんとも異様な光景でもありました。どのような味がするかと言いますと、甘いニッキ味がしみ込んでいて、味がなくなるまで口に入れていました。
味がなくなったら次のに交換し、また口に含むの繰り返しのなんとも不思議な駄菓子ですが、子供仲間でも買うのは私だけでした。
まずいから嫌だと子供達の悪い評判で、あまり売れていなかったようにも見えました。私は変わった駄菓子が好きで常に新しい駄菓子の発見をしていたので、かなり遠くの駄菓子屋まで探索に出かけました。
しかしあの小枝の素材は何なのか全く判りませんでした。味がなくなるとお行儀悪いですが、どこかに捨てても自然に帰るので環境には良かったのかも知れません。
子供相手の駄菓子は、甘い物が主流でしたが、なぜかニッキ味が色々な駄菓子に付けられていました。飴、ビニールパックの色水、ジュースではなく本当に色の付いた水です。これは、今も夏向けの商品でスーパーに売っている氷菓子の部類の飲み物です。
それと寒天、麦焦がしのニッキ味、これ麦のストローで吸い上げて食べるのですが、喉に直接入りむせるのですが子供ながらに今思うと怪しい刺激だったのかと思います。
ちなみに、当時のストローは麦わらで作られた自然の物でした。
謎の解明でニッキとは何かをネットで調べてみたらクスノキ科の常緑樹からとれるそうで、表皮を使った物がシナモン類、根っこの部分を使ったのものがニッキになるそうです。
と、言うことは、駄菓子屋のニッキ棒は根っこを乾燥をさせた物だったのですね。子供がおかしな枝をくわえている姿は何か変ですね。しかしながら、私だけが好みで購入していましたが、他の子供はそんなまずいもの買わないと言っていました。
そのままでは辛いだけの物なので当時、合成甘味料全盛の時代ですから、サッカリンを使用した甘みを添加していたのだと思います。おかげさまで数十年の謎が今ここの文を加筆していて解き明かされました。
右にある絵はご存知の京都のお土産として有名な和菓子で名称と共にニッキが使われていました。