昭和の縁日 食 「のしせんべい」

 下町の子供、大人共々の間では「のしせんべい」と呼ばれていた縁日の綿菓子、焼トウモロコシに並ぶ食べ歩きフード。「のしぜんべい」は夏、冬、関係なく七輪で焼き上げた香ばしくほんのり甘い煎餅です。

 七輪の上へ餅網を置いてその上に、のしせんべいの生地を手に持ち、始めは両面をあぶりながら手際よく続けていきます。露天の真ん中に鎮座し熱気を放っている。この「のしせんべい」普通にある煎餅とは少し違い、高温であぶりながら焼くとぷくぷくと大きさがましていきます。

 その膨張する頃合いをみて、しゃもじや木べらで「ぎゅっ」と押しつぶすように、押しながら伸ばすとことから「のしせんべい」と呼んでいました。技術により大きさは元の生地の4倍以上に膨らみ、焼き上がってから少し冷ますと、サクッとした食感でほんのりとした甘みが口の中に広がります。

 腹持ちすることもないため何枚でも食べられます。技術としたのは、この「のしせんべい」の特徴でもある販売にあります。露店のおじさんに焼いてもらった、大きなできたての物を買うもよし。お持ち帰りで、生地だけの詰め合わせを買うもよしなのですが、手が掛かっていない分、価格も安く買うことのできるメリットがあります。

 生地の着色も5種類くらいあったような。しかし、この煎餅生地を自分で焼くのは本当に難しい。すぐ焦げるし大きくなる前に生地に火が通ってしまい、うまく焼くことが出来ない。何度も何度も繰り返しやってみるのですが、うまくいかなかった記憶があります。

 子供ながらに割高でも焼いてもらった物を買って、まさしく立ち食いしながら食べるのが、最も満足感を感じることを覚えました。当時の甘みの成分は、砂糖ではなくほとんど人工甘味料が使われていました。昔はここに書いたごとく縁日でしか食べられませんでしたが、インターネットで調べると、今は「芭蕉せんべい」の名称で販売されています。

 結構送料を入れると割高なのと、やはりうまく焼くことが出来ないだろうと思い買ったことはないのですが気になる存在です。貧乏性なのと過去の失敗が頭によぎり、購入、実食が出来ない私です。

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