昭和の縁日 技 「山吹鉄砲(やまぶきてっぽう)」

山吹鉄砲 街中の街路樹も少しずつ色付き、季節の変化を伝えてくれています。この季節になると思い出すのが「山吹鉄砲」です。若い世代の方には何なのか想像もつかないと思いますので、簡単に説明をすると山野に生えいてる山吹、高さ約1m位で茎の中心に柔らかな白色の髄(ズイ)があり、これを使用した玩具です。

 この髄(ずい)といわれる少し硬いスポンジのようなものを、まず1センチほどにちぎります。一度口に含んで湿らせ、ゆっくり竹筒へ1つ詰め針金で出来た棒を押し込み、再度2個目を少し入れる。今度は強く一気に押すと、ポンという音と共に、最初に入れたものが飛び出すと行った仕掛けです。

 この玩具の素材は「竹」で出来ています。竹の種類はわかりませんが、色々な大きさと種類、連発で打つことができる弾倉(シリンダー)の付いたものもありました。ほとんどの商品は出来たものが並べられているのですが店番をしながら材料の竹を加工し、見ている前で器用に切り刻み針金を巻きつけ、色を塗り商品を作っている姿は憧れでした。

 この色つけの配色は、すべて金、銀、赤、青、黄色のかなり濃いめの着色で構成されていて自分の好みに合う物を選び購入するようになっていました。特に連発式のものは値段も高く、重厚感というか竹で作られているのに格好良かった。しかし、子供からは見るだけの商品となっていました。

 竹と針金だけで連続して打てるように、回転式ピストルの弾倉のように6個くらいの玉を入れて、弾倉を手で回転させながら連続して打つことができる仕掛けなのです。しかし押し出す側の玉は一つずつ入れなければならないので、連発式の機能に疑問もありました。

 今思うと何とも単純で素朴なものですが、自然の素材を知恵と技術であれほどうまくまとめる技は、まさしく職人技そのものではないでしょうか? この昭和30年代の縁日などで売られていた玩具は、本当に自然の素材を生かしたものがたくさんありました。

 高度成長期に向かう時期でしたが、香具師の人たちが商材として取り扱うには自身の技術が伴っていないと販売できないところも、当時の傾向だった思い返すことが出来ます。この香具師としての職人さんも今は姿を消してしまっているようで、私も最後に見たのは10年ほど前と記憶しています。

 しかし今のご時世、インターネットで、何と作り方や山吹鉄砲ではないのですが、違う素材を使用して遊べる物も出ているようで驚きです。

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